要旨


モンゴル国草原土壌における無機炭素の同位体分布特性
○浅野眞希1)、田村憲司1)、前島勇治2)、白戸康人2)、松崎浩之3)、木方展治2)、東 照雄1)
1)筑波大生命環境、2)(独)農環研、3)東大工学原子力国際
【はじめに】半乾燥地域に分布する草原土壌には炭酸塩集積層が生成しており、陸上生態系の炭素循環という観点から、半乾燥地域における炭酸塩の集積過程の解明は近年重要性を増している。そこで、本研究はモンゴル国に分布する気候‐植生帯が異なる草原土壌を対象とし、炭酸塩集積層の無機炭素同位体分布特性の比較を行い、気候要因が炭酸塩の集積過程に及ぼす影響を検討した。
【試料および方法】モンゴル国ヘンティー県の森林ステップ・ステップおよびドントゴビ県のゴビステップにおいて土壌断面調査を行い、層位別および10cm深度毎に炭酸塩測定用試料を採取した。各地点の炭酸塩集積層より採取した土壌試料中の無機炭素について、安定同位体比(δ13C値)および放射性同位体比(14C値)を算出した。炭酸塩含量は、湿式燃焼法により得られた炭素量を、炭酸カルシウム含量(kg m-2)に換算した。
【結果】森林ステップとゴビステップに生成する土壌では、炭酸塩の垂直分布に明確な差異が認められた。森林ステップでは、Bk層が29 cmから観察され、炭酸塩含量0.8〜1.7 kg m-2の範囲を示し、集積層の下部で最も高くなった。一方ゴビステップでは、表層付近から炭酸塩が存在し、炭酸塩含量は0.3〜8.4 kg m-2範囲を示し、集積層の中間であるBk2層で最も高い値を示した。無機炭素の14C値は、森林ステップでは-234.4〜-515.4‰、ゴビステップでは-458.5〜-827.7‰となり、両地点とも下層に向かうほど低下する傾向を示した。各植生帯で比較すると、降水量の多い地点ほど断面全体として14C値が大きくなる傾向を示した。また、δ13C値から土壌生成作用により集積した炭酸塩炭素の供給源を考察した。以上の結果から、無機炭素同位体分析によって、各草原植生帯における炭酸塩集積層の生成過程の差異が示唆された。 (790文字)