要旨


モンゴル国ヘルレン川流域を研究対象として,一般水質,環境同位体,土壌水分データに基づいて,半乾燥・植生変遷域における地下水涵養プロセスを明らかにした.AI(Aridity Index, 乾燥指数)を基準として乾燥度を地域区分すると,乾燥強度の大小によって地下水涵養プロセスが異なることが明らかとなった.すなわち,相対的にAIの大きい地域においては,降雨強度の弱い雨による浸透水はすべて蒸発し,土壌水中に同位体濃縮の影響が残りにくく,降雨強度が強く,降水量効果を伴う降雨によってのみ地下水涵養が引き起こされるため,これらの地域における地下水の安定同位体比は通常考えられるよりは低い値を示す.これに対して,AIの小さい地域では土壌に浸透した水はすべて蒸発することは少なく,蒸発作用を受けた浸透水の一部は土壌中に残留し,引き続く降雨強度の大きい雨に伴って押し出され地下水を涵養するため,これらの地域における地下水の安定同位体比は相対的に高い値を示すものと考察された.